6月17日、千葉大学西千葉キャンパスで開催された中野友加里選手の講演会へ行ってきました。例によって例のごとく超アナログに聞き書きメモと記憶のみに頼って書いていますので(撮影・録音も禁止でした)聞き間違いがありましたらご容赦ください。
大学に到着すると門の前に「本日開催!トップアスリートに学ぶフィギュアスケーター中野友加里氏」の立て看板が。 5時半開場の予定とありましたが実際にはもう少し早くに、ブレザー姿の学生スタッフがまめまめしく働くなか開場、ポスターと同じ写真を使った二つ折りのリーフレットが配られ、中には見開きでプロフィールと主な戦績、進行役の酒井道代さんのプロフィールが掲載。待ち時間のあいだは、ステージ上の大画面にスケートアメリカとグランプリファイナルのショートプログラム「ロマンス」とフリー「ジゼル」の映像が流れていました。実況解説のコメントはなく、テロップのたぐいもない映像でした。会場は千葉大の学生さんたちを中心に一般も含めて立ち見の出る入り。 中野選手は白っぽいかっちりめのジャケットに水色とグレーの花のような模様のついた薄手のふんわりした生地に裾の部分がアシンメトリーな感じの(ぎざぎざに見える)スカート、という出で立ち。以前に八千代市で8020運動のトークショーをやったときのと同じかもしれません。髪はおろさずきっちりまとめていて、全体的にすらっとした爽やかな印象でした。改めて3年前の八千代の写真を見返して昨日の様子と比較すると友加里ちゃんの姿勢がよくなっているのがわかります。 千葉大の学生スタッフからの挨拶と諸注意(撮影禁止など)のあと、ステージ上にまず酒井さん、そして中野選手が登場して、酒井さんが質問し中野選手が答える、というトークショー形式で始まりました。 愛知ご出身ということですが千葉との接点は? という酒井さんからの質問で講演会がスタート。アクアリンクちばもありフィギュアスケーターもいる千葉、これからトップスケーターになる選手が増えるといいですね、と選手。小さい頃に行っていたリンクは近かった? という質問には「車で15~20分ぐらい」のところにある小さなスケート場(管理人注:残念ながら中野選手が子ども時代に行ったこのリンクは今はもうない、という話を以前別の機会にうかがったことがあります)に「最初は遊びから」中野選手のフィギュアスケート人生が始まります。 スケートを始めたきっかけはお母様が「スキーかスケートをやらせたかった」こと。スキー場が近くになかったため、お兄様がアイスホッケー、お姉様がフィギュアスケートを始めることになり、それについて3歳から末っ子の友加里ちゃんも始めました。「滑るのが楽しくてしようがなかった」、振り返ってみればそれから「20年も経つ」ので「最近は長すぎるかと思っています」とも。 本格的に始めたのは6歳から、7歳で初めて出場した試合で4位の成績をおさめます。優勝するつもりだった? との質問に、自分では何位になるのかわからなかったものの、同い年の子が3位になりメダルをもらっているのを見て「うらやましくて」「すごく悔しかった」。「もともと運動は好き」でしたが負けず嫌いでスケートに関係のない運動会の徒競走などでも一番にならないと、という子どもだったと振り返ります。そんな負けず嫌いは今も変わりませんが、試合に臨むときは自分とその試合に出ている全ての人がライバルだと思うものの、結局「最後は(ライバルは)自分自身」、「大変ですが乗り越えたときに何かが見えてくる」と言います。 初優勝は小学校3年生のとき。試合でこのような成績をおさめると、嬉しくて学校の先生のところに知らせに行って、朝礼で紹介してもらうのが楽しみだったそうです。金メダルの喜びというのはやはり格別なようで、「そういった喜びがあったから今まで続けてこられた」、最近はなかなか取れないけれども、やはり「理想は金(メダル)」、金メダルを目指して練習するんです、とのこと。 憧れの選手は「伊藤みどりさん」。「ジャンプの天才」のみどりさんと同じリンクで同じコーチだったため、一緒に練習する機会もあり「お手本にして練習していた」中野選手、オリンピックはその頃から意識していた? という酒井さんの質問には当時は「夢のまた夢」「憧れに近い」ものだったと言います。 そして中学校に入学。「女性の方ならおわかりになるかと思いますが」体型変化の時期が来ます。「見た目も重要」なフィギュアスケート選手としてダイエット、食事制限などを始めました。専門の方からアドバイスをいただきながらトレーニングを開始、「トレーニングは嫌い」だったものの「筋力をつけるために」取り組みました。その頃は「食べても食べてもおなかがすいていた」のだそうです。 高校時代は中野選手にとってスランプと度重なる故障に苦しんだ時期でした。「辛かった」と振り返ります。フィギュアスケート選手にとってけがはつきもので「体中にアザ」も。それも「練習のたまもの」とは言いますが「けがをしないのも才能」とも。「普段から体力・筋力面でバランスよく」を意識することが大切なようです。高校の頃は勉強との両立の面では「一夜漬け」をしていたこともあり、一夜漬けの効かない「理数系は(成績が)よくなかった」と笑っていました。この頃まではオフは全くとっていなかった中野選手、そのせいで「けがが多かったのかも」とのこと。 フィギュアスケートでは「小さい頃からの練習量が(結果を)物語る」ので「継続は力なり」「毎日こつこつちょっとずつでも続ける」ことが大事なのだと言います。それに合わせて「芸術的なものが好き」でバレエなどを見てそこから吸収するものも多いそうです。 高校生のころまでついていた山田満知子コーチから怒られることはほとんどなく、ほめられてばかりだったという中野選手に、ほめられて育つ子? と酒井さんが尋ねると「けなされて育つ子です」と笑いながら答える中野選手(笑)。ほめられるのがだめというより、負けず嫌いゆえに怒られることで奮起するタイプで、奮起して頑張って自分を叱った先生にほめられると嬉しい、ということだろうな、と聞いていて思いました。 そして大学に進学。進学先は早稲田大学人間科学部eスクールでした。スケートの練習ができて好きな時間に学べる、というのが通信課程を選択した理由。通信で学ぼうと決心するまでには「時間がかかった」そうですが、通信で学んだからこそ今の自分がある、と選手は感じていて、「早稲田に通信課程があってよかった」そうです。 通信とは言え、練習の本拠地を愛知から神奈川に移しての大学新生活。大学進学までは「箱入り娘」でした。それも「掃除機のかけ方がわからない」というレベル(笑)。「高校の家庭科とかで(やっていれば)」とごにょっと言っていたようにも聞こえましたが、これには酒井さんも掃除機のかけ方は家庭科で習うものじゃないですから、とツッコミ(笑)。当時はどこまで掃除機をかけるのかわからなかったとも選手は発言していましたが、どこまでって……よもや床から壁に沿って天井とかにまで掃除機をかけようとしていたんだろうか、と聞いているほうの頭の中にも疑問符が(笑)。 「炊飯の仕方もわかってない」という状態だったそんな中野選手も今では「姑」「小姑」と言われるぐらいになったそうで(「目指せ主婦の鑑」だったはずが通り越しておばちゃん化?(笑))、ゴミの分別などにもチェックが厳しい模様です。ホームリンクでも「プラ容器とペットボトルは分ける!」とか言っている友加里ちゃんの姿を「新横のお母さん」(『PASSION』)と呼ばれている話を思い出しながら想像しました(笑)。高校のときから海外遠征なども行っていたんですよね? と酒井さんが聞くと「お湯は沸かせた」そうです(笑)。 高校の修学旅行はそんな海外遠征と重なって行けず、事前・事後の学習にも参加できなかったという中野選手、クラスメイトからは修学旅行先の長崎よりも試合の遠征先のフランスのほうがいい、と言われたそうですが(あぁ、フランスだったら食事とかは大丈夫そうですよね、と、当時の友加里ちゃんの遠征時の食生活を心配していたらしいコメントを酒井さんがされていたのがちょっとツボでした。酒井さん、優しいです)、そのクラスメイトからは班ごとに1つずつ、計6本のいろんな味のカステラをおみやげにもらいました。試合のほうの出来はよくなくて(管理人注:中野選手が高校2年、2002-2003シーズンにパリで行われたラリック杯、結果は6位でした)そういう意味では自分のほうはいいおみやげを持って帰れなかった、と話す友加里ちゃん。それでもクラスメイトからの気持ちが「すごく嬉しかった」のだそうです。当時の学校(管理人注:椙山女学園。同窓会のサイトでは卒業生として中野選手が椙山時代のことを振り返っているページもあります)のアドバイスやサポートにも感謝する中野選手でした。 やめたいと思ったことは? という質問には、スランプ期には一度や二度でなくそのように思ったことはあったそうですが、基本的にそうしたことで抱えたフラストレーションは、誰かにぶつけるよりもうまくいかないのがどうしてなのかを考えるタイプだそうです。行き詰まったときは、「スポーツでも勉強でもなんでも」まず切り離してリフレッシュすること、休むことが解決になる、と中野選手。そうすれば「考え方やモチベーションにも変化が生まれる」かもしれないので、「一回休んだほうがいい」そうです。 高校時代まではオフは取らない主義でしたが、大学で佐藤信夫先生の指導を受けるようになってからは「週一で休み」をとっています。その日だけはスケート靴をはかない、スケート以外のことをして楽しむ日となっているとのこと。 大学に入って一人暮らしを始めた新入生も会場にいるかもしれませんが、一人暮らしは寂しくないですか? と質問した酒井さんに「(一瞬おいて笑いながら)あんまり……(きっぱり)ないです」。むしろ「のびのび」しているそうで、寂しさよりも、好きに部屋をアレンジできたり自分の好きなことができたりする快適さを満喫している様子でした。お姉様と二人暮らしをしていた時期もあり、寂しいと思うこともないわけではなさそうですが「大丈夫」だそうです。 一人暮らしでは「体型も気になるので」外食は避け、自分で料理は作ります。テレビなどで紹介される特定の果物ばかりを食べるようなタイプのダイエットは信用していないということで、「自己流」で食事の量は基本的に変えずに運動することで体重の調節をしています。「甘いものは大好き」で「食べます」。甘いものを食べて体重が気になるときは、その分、食事を控えめにして動いているそうです。 現在は大学院修士2年目の中野選手。目下、修士論文に取り組んでいる最中です。論文と聞いて会場から「うわぁ」という声がもれたのは、おそらく今まさに論文書きに頭を悩ませている学生さんがいたからかもしれません。そこへさらに「今から進めておいた方が」いい、とさりげなくプレッシャーをかけるゆかりんでした(笑)。 練習時間は小学生のころは一日6時間もやっていたこともあるそうですが、今、そんなことをしたらくたびれてしまうので、現在は2時間程度、午前と夜の二回に分けて練習しています。練習時間は朝6時からなので、月曜から土曜までは5時起き。酒井さんも朝のラジオ番組に出演されることもあって早起きは日課のご様子でしたが、冬などは暖かい「布団の中が心地よい」ですよね、と二人でお話。この日も朝5時起きで練習をしてから大学院へ行き、そして千葉大で講演会というスケジュールでした。 大学では教員免許(管理人注:科目は情報科です)を無事に取得、教職科目が大変だったといいますが母校の椙山女学園でやった「教育実習はやり甲斐があり、教職を取ってよかった」そうです。「生徒達は可愛かった」とのこと。中野友加里さんが実習生で来て生徒さんたちは言うことを聞いてくれました? という質問に、フィギュアスケーターではなく「一教師として」扱う、ということで、生徒さんたちも「真面目に言うことを聞いてくれた」そうです。実習を通して生徒さんに伝えたことは? と酒井さんが質問すると、「あんまり日焼けしないように」すること、気をつけないと「シミになるよ」とも(笑)。 屋外で練習するときには、日焼け止めを塗ったうえに、帽子をかぶり、長袖を着るので周りの選手たちからは「気持ち悪がられ」たこともあるというゆかりん(笑)。自身も高校生の頃までは特に対策をしていなかったが、最近になってシミが気になり始めたので(「えぇ、こんなに色白なのに!」と酒井さん)日傘は欠かせないアイテムになったそうです。 アルバイトとかをする暇もなかったんでしょうね、と酒井さんが聞くと、してみたいという気持ちはあったけれども、忙しすぎてそれどころではない、というのが実情で「自分がもう一人、二人くらい欲しい」と中野選手。寝る、遊ぶ、勉強する……という役割分担で欲しいらしいです(笑)。先日、個人的にうかがったときに、練習と修士論文といろいろやることがあって忙しくて「スピンより目が回る」とおっしゃっていたのでこれには納得です。 (中野友加里選手講演会(於・千葉大学)後編に続く)
by smile_yukari
| 2009-06-19 10:51
| イベント
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