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【感想】僕と妻の1778の物語
友加里ちゃんお薦め映画はこれまでも一応見てきたのですが、初の担当映画!ということで、当ブログでも感想なぞ書いてみようと思います。というわけで新たなカテゴリ「映画」が登場。基本的にネタバレあり(コメントでもネタバレOK)としますが、実際に作品を見るまで読みたくない方もいらっしゃるかと思うので、「More」以下にネタバレはまとめておきます。

【DATA】
僕と妻の1778の物語
監督:星護
原作:眉村卓
脚本:半澤律子
音楽:本間勇輔
出演:草彅剛/竹内結子/谷原章介/大杉漣/風吹ジュン/小日向文世ほか

【感想】僕と妻の1778の物語_f0058171_0401921.jpg
Go, Yukarin!内関連記事:
僕と妻の1778の物語(2010年11月23日)
『僕と妻の1778の物語』1月15日公開(2011年1月14日)

感想(その1:ネタバレなし)
公開初日の1月15日に見てきました。SF作家の眉村卓さんが妻・悦子さんのために書き続けた「一日一話」のショートショートをベースにした作品。「実話」ということになっていますが、癌と戦う患者とその家族のリアルな闘病ものではありません。これは、眉村さんご夫妻の実体験に対する一つのパラレルワールドを描いたフィクションと考えたほうが、すんなり作品に入れます。

その前提でいくと、この映画という平行世界において、眉村さんご夫妻は牧村朔太郎(草彅剛)と節子(竹内結子)という名の30代の夫婦となっています。見た目もその中味も別人ですが、作中で朔太郎が書く物語は眉村さんが書いたものと同じ、1778話というその数も同じ。そして病に冒された妻を前に、作家である自分にできることは何か?と考え、一日一話を書こうと決める主人公というのも同じ。そしてこのSF作家とそのよき理解者の妻とが過ごす日々と、そこで生み出されていく1778話の物語、という骨子は共通しています。そういう意味の「実話」です。

映像は主として朔太郎の視点で描かれています。夢想家の朔太郎の想像やその小説を描写した映像は、新型ロボットよりもレトロな旧型ロボットを偏愛する朔太郎ならではの、いまどき時代錯誤的ともいえる、昔懐かしい風の仕上がりです。原作(新潮新書版)を読んだ人間からすると、映画の新しいところは節子の視点も加えられている点。これによって、文字どおり日々積み重ねられていく(原稿用紙が積み上がっていきます)1778話というものが、夫婦で紡がれたものだということがはっきりしました。

派手なアクションもありませんし、癌患者の最期をリアルに描くドキュメンタリーでもありません。眉村卓さんは一日一話を書くことを「お百度」に例えていましたが、映画でも朔太郎が物語を書くことは祈りと結びつけられていて、これはかなりはっきりとイメージで語られています。星護監督の映画は『笑の大学』を見たことがありますが、この監督はともすればあざといほどのわかりやすいイメージで物語りメッセージを映像化する、という印象です(続きはネタバレ感想※1へ)。このあたりは好き嫌いが分かれるところかもしれません。

そして到達する1778話目。これは原作を読んでいたので、どういう内容かは既にわかっていたのですが(未読の方はパンフレットは映画を見た後に読まれることをお薦めします。最終話が思い切りばーんと掲載されています)、映像化されたことで、個人的にある発見がありました。これだけでも自分には見る価値のある映画だったと思います(ネタバレ感想※2へ)。

草彅剛さんは地に足のついていない、ある意味絵に描いたような作家ぶりで、それを現実につなぎとめている竹内結子さんの好演が光ります。朔太郎の友人の滝沢蓮役の谷原章介さんも、朔太郎の鏡像のように現れては主人公自身の内面を抉る面白い役回りです。小日向文世さんが出てくるエピソード(ネタバレ感想※3へ)は秀逸。映画を見てから、これと留守番電話を吹き込むアルバイトのエピソード(ネタバレ感想※4へ)が読みたくなって、映画館を出てからまっすぐ書店に向かって集英社文庫版を買ったほどです(残念ながら収録されているのは後者のみでしたが、それでも買いました)。

くすくす笑い、そして静かに泣きたい方にお薦めします。

↓以下はネタバレありです。写真はパンフと半券、文庫本。
【感想】僕と妻の1778の物語_f0058171_0564719.jpg




感想(その2:ネタバレあり)

※1
例えば、消灯後の病院で原稿を書く朔太郎の背後から射す十字の光、苦しみながら言葉を紡ぐ朔太郎に、病院の患者や看護師らが食べ物をおいていく場面。ちょっとやりすぎ? と思うぐらいの絵でした。

星護監督の映画を見るのはこれが2作目ですが、どちらも虚構の枠組みをあえてあからさまに提示しているように感じます。映画の冒頭からいきなりあのレトロなSF風映像をもってきたのも、これは虚構である、という宣言のようでした。しかしそういう枠組みの中で真実を描くことが物語の語り手の仕事(使命)でもあります。こういう対象から一旦突き放して再構築していくようなスタンスは好きなので、自分には馴染みやすかったです。

※2
原作でこの最終話を読んだときに、感動すると同時にある疑念もありました。これは作家の敗北なんではないのか? ことばで語るべき作家が、最後の最後でことばを放棄してしまったのではないのか? そうした疑念はこの映画のあの映像で消えていきました。空中で書かれていく文字――パーカーの万年筆の先には第三者には読めないけれど確かにことばがあり、眉村さんが、そして朔太郎が言う「今のあなたなら読める書き方」というものをようやく理解できた気がして、すっきりしました。

※3
遠くからまずは声のみ。そしてあの反則級の真実の姿、とどめはあのピンクの作業着(笑)。「集金です」の声かけの普通っぽさが小日向さんならではでした。

※4
集英社文庫版に収録されているのを読み直して、また笑ってしまいました。このバイトはやってみたいです(笑)。この文庫、映画でとりあげられている作品は全部収録されているともっとよかったですね。映画館を出るなり、文章でも読んでみようと書店に直行する観客は自分だけではないと思うのですが。

気になっている方もいるかもしれないのでここでメモ。
スタッフロールには残念ながら「アシスタントプロデューサー 中野友加里」の名前は入っていません。これは担当した時点で既に編集が終わっていたためです。とは言え名前はないものの、いい映画にかかわることができて友加里ちゃんはよかったなぁと思います。
by smile_yukari | 2011-01-20 01:15 | 映画 | Comments(2)
Commented by ihavesevencats at 2011-03-06 18:06
勝手ながらトラックバックさせていただきました。
よろしくお願いします。

そろそろゆかりん情報が欲しいこの頃です。
Commented by smile_yukari at 2011-03-07 06:44
映画感想ありがとうございました。ゆかりん情報ですが、まだ詳細がわからないので掲載を見合わせているものがあります。もうしばらくお待ちください。
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